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「お前にはこの部屋の中に蛇が見えているのか?」
「はっきりとは見えていないわ。多分この家中を探してもはっきりと見えるヘビは見つからないわね」
「お前は見えないヘビを退治しようとしているのか?」
「そういうことになるわね。ただヘビの影は日に日にくっきりしてきているのよ」
「なんのために俺にヘビを見せようとしているんだ?」
「あなた戦争は好き?」
「どうして急に論点がずれるんだ?」
「大してずれてもいないのよ。そう見えるのもヘビの作戦、いえ、蛇使いの作戦かも知れないわね。
私が言っているヘビっていうのは、報道によって世界をコントロールしている何者かのことなのよ。そんな何者かが存在するとして」
「ヘビっていうのは喩え話だったのか、そんな喩え話で俺は叩き起こされたのか?」
「だってそうでもしないとあなたは私の話に耳を傾けてくれないでしょう?」
「そんなことはない」
「いいのよ。誰だって人の話に耳を傾けるのは億劫なものだわ」
2015年9月11日金曜日
1-ヘビはいなかった
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根負けした夫がベッドから這い出てきた。
ベッドの中に大ヘビはいなかった。
それでも私はこの家の中にヘビがいると主張し続けなければならない。
ヘビ退治のためには夫にヘビの存在を納得させる必要がある。
世界中の人が嘘の情報の中で馬鹿げた行動を続けるのを見過ごすわけにはいかないからだ。
例えば戦争とか。嘘の情報を暴いた上で戦争したい人は戦争すればいい。
「大ヘビがいるという証拠(proof)は?」
「証拠?じゃああなたが寝室の扉を開けば見慣れた廊下を見ることができるという証拠は?」
「は?」
「あなたが寝ている間に誰かに偽物の寝室へ移されたかも知れない」
「そんな可能性はほんの僅かしかない。この家で何年も暮らしているがそんなことは1度もない」
「あなたが言っているのは証拠ではなく根拠(evidence)よね?多くの根拠から見慣れた廊下が見られると結論しているのよね?」
「…」
「昨日おろしたばかりのパジャマを着たあなたが眠ったまま誰かに連れ去られる写真を私が見せたとしたら、その結論は大きく変わるわよね」
「そんな写真があるのならな」
「大ヘビがいるという証拠はないわ。ただ根拠は溢れるほどある。
今夜のうちに全ての根拠に目を通して推論をしなおしてとは言わないわ。
時間を掛けて推論を繰り返した上で自分の結論に納得しない限りヘビは見えてこないから。
そんなんじゃとてもヘビ退治なんてできないわ」
「お前は頭がおかしいんじゃないのか?」
「私はあなたにだけじゃなく世界中の人たちに大ヘビを見せなきゃいけないのよ。ヘビ退治はそれから」
根負けした夫がベッドから這い出てきた。
ベッドの中に大ヘビはいなかった。
それでも私はこの家の中にヘビがいると主張し続けなければならない。
ヘビ退治のためには夫にヘビの存在を納得させる必要がある。
世界中の人が嘘の情報の中で馬鹿げた行動を続けるのを見過ごすわけにはいかないからだ。
例えば戦争とか。嘘の情報を暴いた上で戦争したい人は戦争すればいい。
「大ヘビがいるという証拠(proof)は?」
「証拠?じゃああなたが寝室の扉を開けば見慣れた廊下を見ることができるという証拠は?」
「は?」
「あなたが寝ている間に誰かに偽物の寝室へ移されたかも知れない」
「そんな可能性はほんの僅かしかない。この家で何年も暮らしているがそんなことは1度もない」
「あなたが言っているのは証拠ではなく根拠(evidence)よね?多くの根拠から見慣れた廊下が見られると結論しているのよね?」
「…」
「昨日おろしたばかりのパジャマを着たあなたが眠ったまま誰かに連れ去られる写真を私が見せたとしたら、その結論は大きく変わるわよね」
「そんな写真があるのならな」
「大ヘビがいるという証拠はないわ。ただ根拠は溢れるほどある。
今夜のうちに全ての根拠に目を通して推論をしなおしてとは言わないわ。
時間を掛けて推論を繰り返した上で自分の結論に納得しない限りヘビは見えてこないから。
そんなんじゃとてもヘビ退治なんてできないわ」
「お前は頭がおかしいんじゃないのか?」
「私はあなたにだけじゃなく世界中の人たちに大ヘビを見せなきゃいけないのよ。ヘビ退治はそれから」
0-プロローグ
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夫は真夜中に妻に起こされベッドから出るように言われる。
「なぜ?」と問い返さずに起き上がる人は少ないだろう。
あなたは眠っていた夫であり、私はその眠りを妨げる妻である。
「大きなムカデがベッドに入って行くのを見た」
この時点で飛び起きる人もいれば、ベッドの中で検証を始める人もいるだろう。
「家の中でムカデを見たことなんて一度もない、昨日は3月31日だったか?」
妻が見たのがムカデではなく小さなアリだったらどうだろう?
それを完全に信用したとしても行動は起こさないかも知れない。
「別に構わない。このまま眠る」
妻が見たのが1mを超えるヘビだったらどうだろう?
事実なら一大事だがとても信じられない。ベッドの中には何の違和感も感じない。
「バカいえ!」
残念ながら私が見たのはムカデではなく大ヘビだった。
報道によって世界をコントロールしている何者かがいる。
夫は真夜中に妻に起こされベッドから出るように言われる。
「なぜ?」と問い返さずに起き上がる人は少ないだろう。
あなたは眠っていた夫であり、私はその眠りを妨げる妻である。
「大きなムカデがベッドに入って行くのを見た」
この時点で飛び起きる人もいれば、ベッドの中で検証を始める人もいるだろう。
「家の中でムカデを見たことなんて一度もない、昨日は3月31日だったか?」
妻が見たのがムカデではなく小さなアリだったらどうだろう?
それを完全に信用したとしても行動は起こさないかも知れない。
「別に構わない。このまま眠る」
妻が見たのが1mを超えるヘビだったらどうだろう?
事実なら一大事だがとても信じられない。ベッドの中には何の違和感も感じない。
「バカいえ!」
残念ながら私が見たのはムカデではなく大ヘビだった。
報道によって世界をコントロールしている何者かがいる。
ある夫婦の物語
「911は自作自演?」のようなバラエティ番組を見ても、
「それが本当なら対テロ戦争は不当である」という考えに至らない人がいます。
「ある事柄の一部に関わった者は、その事柄の全体とも関わりが深い可能性が高い」
という推論ができないのです。
「宝石強盗の被害者の提出した証拠写真が偽物だったとしたら、強盗自体も嘘だったんじゃないの?」
という推論ができる人でさえです。
推論に混乱したら、いつでもこの短い物語に戻ってきてください。
0-プロローグ
1-ヘビはいなかった
2-戦争は好き?
3-アメリカ同時多発テロ
4-帰納と演繹
5-コンセンサス
6-エピローグ
YouTubeテキスト読み上げバージョン(字幕あり)
https://www.youtube.com/watch?v=kOjbvXlhFJU
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