2015年9月11日金曜日

4-帰納と演繹

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「演繹とか帰納って言葉は知ってるわよね」
「あたりまえだ。むしろお前より俺のほうが専門だ」
「よかったわ。あなたがさっき言った事件の内容は演繹による結論なの?帰納によるものなの?」
「ちょっと待てよ。まあ両方の組み合わせなのかな。
メディアの報道が正しいとするならば、事件は報道されたような形で起きた。これは演繹だよな。
この演繹の前提、メディアの報道が正しいっていうのは、メディアは過去に多少の間違いはあったとしても概ね正しい報道を行ってきたのでこの事件についても概ね正しい報道が行われたと考える。っていう帰納からの結論かな」

「その論理の構造は私も同意するわ。で、帰納の結論っていうのは前提が全て真であったとしても偽であることもあるわよね」
「ああ」
「当然、前提のいくらかが偽である場合も同様に結論は真も偽も取り得るわ。帰納ってそういうものよね」
「ああ」
「演繹では前提が真であれば結論は常に真。でも前提が偽であればその結論は?」
「偽も取り得る」
「あなたがこの演繹に使用した前提はどこからきたの」
「帰納による結論だ」

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