2015年9月11日金曜日

5-コンセンサス

ある夫婦の物語の目次へ

「つまり何だよ、帰納の蓋然性を高めるためにその前提をもっと集めて検証しろっていうのか?いつもそんなことしてたらきりがないぜ?」
「いつでも何についてもそうしろとは言ってないのよ。でも戦争するかしないって結構大事よ?」
「だからさっきも言ったけど俺はメディアと戦争との間に深い関係があるなんて思ってないぜ」
「そうだったわね。じゃあ私の推論をもう一つ聞いて。
ある戦争が起こったとき、その戦争のきっかけとなるような出来事が作り物だったとしたら、
その作り物に関与した者たちは、戦争そのものに関与している者たちと深い関係にあると考えられないかしら」
「全て仮の話で考えていいんだよな」

「ええ」
「まぁその可能性は高いんじゃないかな。同時多発テロでいえば少なくともこんなことをでっち上げたらアルカイダへの報復があるだろうってことぐらいは想像つくよな」
「もっと言えば同じ構図を持った、事件、戦争が他にもあると思うの」
「根拠はあるんだろうな」
「証拠は?と言わなくなったわね。ありがとう。
私は証拠という言葉はあまり安易に使われるべきでないと思うのよ。少なくとも帰納の前提を指す言葉としては」
「確かにそれは全くその通りだな。つい口癖で言ってしまうけど」
「まずコンセンサスを得たかったのは私が今言った推論なの。
それからでないとでっち上げの根拠を並べても、戦争と話が繋がらないからね」

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